mine count get 4999HIT "RYOUSKE & KEISUKE"


□  愛 す べ き も の  □    




by  鮎 川 祥 子









その指も、髪も、唇も。
―――全てが、愛しくて。

オレは静かに、恋人の額に口づける。

まるで神聖な物であるかのように、そっと。
微かに。微かに、触れる。

隣で眠る、その寝顔が。
安心したように、ほんの少し笑みを浮かべているその表情が。
暖かい、温もりが。
オレにとって、どれだけ安らぎを与えてくれているのか。

―――お前はきっと、知らないだろう。


「ん……」
不意に、身じろいだ啓介が、ゆっくりと瞼を上げた。
まだ夢うつつなのか、ぼんやりとオレを見上げて。
幾度か目を擦って、もう一度オレを見つめると。
もぞもぞと、オレの傍らに擦り寄って。

―――次の瞬間。
ふわりと、微笑んだ。

その笑顔は、見慣れているオレでさえも鼓動を速めてしまいそうなほど艶やかで。

(……参ったな)
苦笑して、汗で額に貼りついた前髪を、そっと後ろに流してやる。
暑いなら少し離れればいいのに、啓介は子供の頃からこうやって、近くへ近くへと擦り寄ってくる。
そんな風に無意識に甘えられるのが嬉しくて。
隣にいられることが、幸せで。

思わず笑みを、こぼしてしまうんだ。


「愛してるよ、啓介……」
熟睡している啓介の耳に囁いて。ほんの少し開いた唇を指で辿った。

どれだけ囁いても足りないくらい、お前を愛してる。

―――だからずっと、オレの傍で。


隣で、笑っていてくれ。












鮎川様から頂きました、兄視点のお話。

幸せなのに、なんだろう。

どこか切実な、そんな思い。

そういう思いを感じるお話。

鮎川様、素敵なお話を、本当にありがとう御座いました(感謝感激)。


2004.3.30up