高橋家の日常? |
高橋家の朝は白いジノリで統一された、熱いカフェオレとクロワッサンではじまる。 「啓介、マーマレードを取ってくれ」 そう言って涼介が器用にクロワッサンを千切る。 ジノリのジャムトレー乗ったマーマレードを涼介に手渡し、啓介がカフェオレを一口啜った。 「アニキ、今夜は親父たち夜勤だって」 「じゃあ二人きりでのディナーになるのか」 ディナー、ディナーである。 決して晩飯や、夕飯、夕食などと言う言い方をしないのが高橋家流である。 「今晩はイタリアンがいいな」 執事が啓介の意向をアイコンタクトでメイドに伝えると、メイドが深々と頭を下げた。 席を立つ啓介の側に控えていた執事が教科書の入ったカバンを持ち上げ、啓介に手渡す。 「気をつけて行って来い」 啓介の通う大学は涼介の通う大学よりも遠いため、朝は啓介の方が僅かに早く家を出ることになる。 「うん、アニキも気をつけて」 言いながら涼介の元に歩み寄るとその頬を差し出し、涼介から贈られる「行ってらっしゃいのキス」を待つ。 血色のよい艶やかな頬にチュッと触れるだけのキスを贈り、啓介に手を振る涼介。 その光景をここは日本国であるにも関わらず、執事もメイドもそれは当然のように立ち振る舞うのだ。 もちろん二人の兄弟は日本人、しかし物怖じなどしない。 彼らにとって執事もメイドも、壁や空気と何らかわらないのだ。 庭をこえて独特のロータリーサウンドが聞こえてきた。 「さて、俺も出かけるとしよう」 席を立ち上がると涼介は自室に向かった。 時間は過ぎて夕方、研究を早く切り上げて帰ってきた涼介が啓介の帰りを待つ。 今宵のディナーは啓介のひと言でイタリアンと決定しているが、アペリティーなどの細かな指示は涼介が行う。 使用する食器はイタリア製のもので統一し、食前酒はシェリーとスパークリングをルビーグレープフルーツで割ったもの、前菜には鴨の燻製とガーリックパン、ブルーチーズのムース風ディップ添えで、続くクレーマーは季節の豆のとザワークラフトのスープ、パスタはアサリときのこの手打ちパスタ、これはあっさりと白ワイン風味で、メインに向けてのワインは赤、メイン料理は子羊の岩塩ローズマリー包み焼き、にんじんとペコロスときゅうりとオリーブとパプリカの彩りのピクルスを添え、特製オリーブオイルと巨峰のソースを、デザートにはラムレーズンと栗のカッサータ、エスプレッソ、食後酒はスピリタスとレモンをトマトジュースとビールで割ったものに季節の果物を添える。 秋の彩りを濃くした食材に涼介がよし頷くと、執事がメイドに命じ、啓介が帰ってくるまで涼介は本を読む。 「史浩」 執事の名前を呼ぶ。 どうもこのうちの執事は史浩らしい。 「はい、ご子息様。どうかなさいましたか?」 「今夜は少し早めに休む、啓介と二人で休むからお前たちもそのつもりで」 それは「今晩啓介とヤルからお前たちも早く休んでいいぞ」と、いう意味の言葉であり。 その言葉に執事史浩は静かに頷く。 「何かご用意いたすものは御座いますでしょうか?」 「そうだな…シーツの変えを」 ………。 おいっ! おっそろしい会話である。 こんな会話、普通なら恥ずかしくて出来ないだろうがしかし。 「かしこまりました、あわせてバスタオルなどもご用意いたします」 冷静にそれを復唱する史浩が、そこにいた。 やはり兄弟にとって執事もメイドも壁や空気と変わらない。 楽しいディナータイム、二人は揃いのスーツで席についた。 まず食前酒が運ばれ、次へ向けて喉を潤す。 「おいしいなぁ…これ」 さわやかな口当たりのそれに啓介が機嫌をよくした。 「そうか、それはよかった」 涼介の浮かべる穏やかな微笑みに、啓介が満面の笑みを返す。 それからゆっくりゆっくり運ばれてくるイタリアンに二人は舌鼓を打ち、デザート後の涼介のひと言。 「今晩は早めに休もう」 ワイングラス越しの涼介の囁きに、啓介が頬を染めた。 小さな声で「うん」と頷くと、いいタイミングで最後の食後酒とフルーツが運ばれてきた。 それからあれよあれよという間に眠る準備が整い、啓介は涼介の部屋へ、そして二人は肩を寄せ合いベッドの中。 めくるめく、情熱と劣情の世界へ。 っつーか、ここは表だからそんな派手なやおいは書けない、勘弁。 いきなり朝チュン、いや夜も酣。 コトが済んで、二人は生まれたままの姿でベッドの中、とまでは書いていいよね? 次の朝までゆっくり。 そしてまた、高橋家の朝は白いジノリで統一された、熱いカフェオレとクロワッサンではじまる。 穏やかなまどろみの中、啓介が囁いた。 「ところでアニキ……。いつまでこんな変な会話ってーか生活を続けるんだ?」 啓介の疑問に涼介が答える。 「ああ、この話が終わるまでだそうだ」 涼介が可もなく不可もなく笑った。 そして著者として、ようやく落ちがついたのでこの話を終わらせようと思う。 もちろん、こんな高橋家はありえない。 皆様もこのような生活・高橋兄弟を、夢にも思わぬよう、これが高橋家の真の姿などとは思われませんように…(^^;) by.著者 2003.9.17up |
| 何気ない一日が有得ない一日となって帰ってきました… ながきにわたりキリバンをおまたせいたしてしまいました。 すみません… 出来あがってみたらこんな話に…(^^;) 続いてイラストもUP予定の為、バックは真っ白です。 イラストの方は今少し、お待ち下さいませ。 |